2024-03-01
中部国際空港セントレアや名古屋駅前のビル、大型商業施設など、半世紀にわたり東海地方の数多くの施設で警備業務を担ってきた東海警備保障株式会社。
創業50年の節目を迎え、さらにこの先50年に向けた「あらゆる不安・不便・不快を解消できる産業」への変化を目的に、解決策のひとつとしてAI警備システムを導入。これからの日本に必要な警備の世界を実現すべく、品質の高い警備をクライアントに提供できるように日々可能性を模索しています。
今回は東海警備保障株式会社が目指す警備の新たな形や課題をはじめ、警備システム「AI Secuity asilla(以下asilla)」の導入に至った背景、そして導入後の変化についてお話を伺いました。
TONETグループの中核を成す東海警備保障株式会社は1971年に設立し、「生活安全産業」としての警備事業を中心に展開を続け、2021年に創業50年の節目を迎えました。
いわゆる日本型の典型的な民間警備会社として事業を続けてきましたが、日本社会の情勢や人々からのニーズの変化と共に、警備のあり方も変化しつつあります。
現在、弊社ではこれから先の50年を見据え、今まで以上に価値ある警備サービスを提供するために「社会安全を創造し、提供する事業体」へ転換しなけばならない、組織の新たなフェーズを迎えていると考えています。
そうですね。従来型の「警備業務」だけでなく、あらゆる不安・不便・不快を解消できるための適切なソリューションを提案・実施していくことが今後求められていると捉えています。
例えば、現在の日本の一般的な警備は「事件事故を警戒し、防止する」ことを目的とした視点が中心で運営されていますが、一方で世界に目を向けるとより広い範囲・高水準でセキュリティやリスクマネジメントが展開されています。
昨今、AIの発達や社会情勢の変化に伴い、警備業務へ求められるニーズや適切な手法も日々変化していることから、日本のセキュリティのあり方も柔軟に変化するべきではないかと考えています。
海外のセキュリティマネジメントの考えをベースにしつつ、日本特有のニーズに適した形にローカライズすることが必要だと感じますね。
現在、TONETグループではNSP(名古屋次世代セキュリティープロジェクトの略 )というプロジェクトチームを編成し、50年先を見据えたセキュリティのあり方や新たなサービスを日々模索しています。
欧米と日本では、警備に対する捉え方に大きな違いがあります。
欧米では高い危機管理意識が根付いており、「自分たちの安全は自分たちで守る」という強い心構えが原則です。これに基づき、しっかりとしたセキュリティマネジメントが構築されています。
一方、日本は歴史的に外敵の脅威が少なかったため、危機管理意識が低い傾向にあります。諸外国に比べると犯罪等の発生率が低いため、多くの人がこれらを自分事として捉えにくいです。しかし、市民を対象とした都市型無差別化学テロが世界で初めて起きたのは日本ですし、近年も国家的要人襲撃事件や貴金属店を狙った強盗など衝撃的な事件が数多く起きているほか、日常生活においても様々な危機的事象が発生しています。真に安全な社会というわけではなく、多くの人は迫りくる脅威に目を背けているに過ぎません。
このような不確実性の中、セキュリティリスクが人々や社会に与える影響は大きく、防げるリスクには積極的に対策を講じる必要がありますが、警備というサービスだけみても、将来発生し得る損失を防止するバリューとしてではなく、コストとして捉えられていることがほとんど。サービスのパフォーマンスよりも「何人を何時間配置したか」という観点でしか評価されないことも少なくありません。
AIと人間がそれぞれの得意分野を明確にし、協力していくことで警備業界においても大きな成果に繋がると感じています。
警備業界におけるAIが得意とすることは「抜け漏れない警備」。休みなく稼働ができ、学習するたびに精度向上が期待できるため、24時間365日抜け漏れのない警備体制が構築しやすいことが、活用メリットのひとつとして挙げられますね。
このように、AIが得意とするところはAIに任せ、逆に人が得意なことや人にしかできない業務は人が担うという棲み分けを行うことが大切ではないでしょうか。
海外でも人間とテクノロジーを融合させた「Integrated Security」は日々進化を続けています。
欧米では危機管理意識の高さから、警備業界でのAI導入が積極的に進んでいます。特に、銃やテロ対策に重点を置いた「犯罪検知」に特化したシステムが構築されています。
しかし、これらのシステムは日本の状況にはオーバースペックであり、そのままでは適応が難しいという現状があります。犯罪の防止という目的があっても、過度の監視等を嫌う日本人の国民性には馴染まない。
日本の場合、どちらかというと日常で起こりやすい暴力行為や迷惑行為を速やかに検知し対策したい、車椅子や白杖利用者などサポートが必要と考えられる人に対し早期検知をすることで先回りした対応を試み る、など「ホスピタリティ領域を含めた行動検知」というのが求められている印象ですね。
弊社は愛知県庁の警備を担当させていただいておりますが、庁舎全体の適正運営を目的に来庁者数の現況調査を実施しました。その際に、人数カウント機能を用いたAI警備システム『asilla』を活用したのがきっかけですね。
本来目的としていた人数カウント・人流検知だけでなく、人の行動に特化した行動認識AIを搭載していることから違和感行動や危険行為をしっかり検知でき、警備的な気づきを得られることから、新たなセキュリティ体制の構築だけでなく、幅広く警備の観点から活用できるシステムであると感じました。
前述の通り、これからの日本には欧米のような本来のセキュリティマネジメントをベースとしつつ、ホスピタリティ文化が浸透している日本ならではのニーズや状況にマッチした「新たなセキュリティマネジメント」を作る必要があると感じています。
従来の警備領域に止まらず、ホスピタリティ領域においても展開の幅を広げていくことで、施設や空間の価値向上に繋がるのではないかと。
ただし、この構想を実現するための適切なAIソリューションがなかったことが課題でした。『asilla』に出会って、このAI警備システムが今後の日本の警備業界に必要であると強く感じました。
主に以下の3点に、発展性を感じました。
『asilla』は既存の監視カメラはそのままで、AI機能を搭載することで行動の検知を行うことが可能となります。これまでの監視カメラは、主に警備員による「モニタリング」そして何かが起こった時の「記録装置」でしかありませんでした。警備員によるモニタリングでは、人がリアルタイムで実施するため、全てのカメラを抜け漏れなく確認するのは難しいという課題があります。いかにカメラがあったとしても、実効性ある「検知機能」はほとんどのケースで有していなかったといえるでしょう。
そのような中、AI警備システム『asilla』は、AIの眼による24時間365日抜け漏れのないフルモニタリングが可能となるだけでなく、検知機能が搭載されることからモニタリングの質向上にも繋がります。
結果、これまでは見落としがちだった事象まで気づくことができ、トラブルの早期発見や事件・事故を未然に防ぐことが期待できる、現場にとって非常に有意義だなと感じました。
まさに、監視カメラ本来の能力を引き出し、警備の可能性を広げるツールですね。
前述の通り、『asilla』は既存の監視カメラにAI機能を搭載するだけのため、初期コストを抑えた上での運用が可能な点も非常に魅力的でした。
コストを抑えつつ、警備の品質向上に繋げることができます。
特に広い施設での警備では、設置されている監視カメラが多いため、たとえ警備員がいても全てのカメラを抜け漏れなくモニタリングすることは厳しいというのが現状です。
asillaを活用することで、AIの眼によるフルモニタリングだけでなく、気づきの機能によりホスピタリティの観点から施設全体の安全性・平穏に繋がると期待しています。
また、人間とテクノロジーを融合させた実効性あるセキュリティサービスを提供するためには、相応のスキルを有した人材が必要となります。警備の仕事の専門性とそれに伴う処遇を向上させることで、警備の仕事を志す人が増える効果にも期待しています。
アジラの「行動認識AI」は、人間の行動に特化しているため、様々な人の行動を高精度に検知できますよね。
検知できる行動も、暴力行為や迷惑行為など「セキュリティ」に関するものだけでなく、ふらつきや転倒、白杖・車椅子利用者など「セーフティー」に関するものも捉えることができますし、それらの早期検知と早期介入は、ホスピタリティの向上にも繋がるのが魅力だと感じています。
例えば、車椅子利用者を検知できれば、先回りして警備員や施設担当者がドアを開けて対応できる状態にしておくなど、早期に対応できます。これは一例ですが、このように人の生活や施設利用の利便性をさらに高め、施設の価値向上に繋がるのではないかと思います。
アジラは独自の研究開発を実施しているので、検知レベルの精度が日々向上していると実感しています。また、各社の課題に合わせた開発も進んでいることから、今後さらに検知できる行動や事象が拡大することで更に活用の幅が広がるという拡張性の高さに期待感を持っています。
現状の警備は「マイナスをいかにゼロに近づけるか」が中心ですが、AIを活用することで従来の警備領域を超えてホスピタリティ領域というプラスにまで転じることが可能となる。結果、施設の価値向上に繋がっていくと信じています。
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警備品質の向上だけでなく、目指す新たな次世代セキュリティの実現を掲げるTONETグループの東海警備保障株式会社。
インタビューでも触れたように、これからの日本の警備業界には従来の警備領域に留まらず、施設や空間価値向上に繋がるホスピタリティ領域でのセキュリティが必要と捉え、更なる警備の質向上を目的に、AIシステムの導入・運用に対して非常に積極的に取り組んでいらっしゃいます。
今後もアジラは東海警備保障様の目指す「この先50年を見据えた次世代セキュリティ」の実現に向け、最大限貢献できるようご提案を続けてまいります。
『asilla』は、世界トップクラスの行動認識技術を基にしたAI警備システムです。
既存のカメラをAI化し、異常行動や不審行動を検出したときのみ、瞬時に映像を通知します。
映像をモニタリングする警備員の業務を軽減でき、見逃しや見落しも無くすことができます。
警備における課題をDX化によって解消したい企業様・学校様は、ぜひ以下よりお気軽にお問い合わせください。
2024年3月21日(木)には、取材を受けてくださったTONETグループの進藤様がご登壇されるウェビナーを開催いたします。
本記事の内容をさらに知りたい方や、施設オーナー・施設管理のご担当者様はぜひご参加ください。
■ウェビナー名:「警備≠セキュリティ」の新たな視点 ー AIで実現する施設管理の新たな可能性
■開催日時:3月21日(木) 14:00~15:00
■開催場所:オンライン形式 / Zoomウェビナー
※「アジラ」の名称・ロゴは、日本国およびその他各国において株式会社アジラの登録商標です。
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