2025-11-14
総合不動産サービスのリーディングカンパニーとして1,000棟を超える不動産管理や8,000施設以上のファシリティマネジメント実績を誇るザイマックスグループ。ザイマックスグループで主に警備サービスを提供する株式会社マックスセキュリティサービス(以下、マックスセキュリティサービス)は、警備のプロフェッショナルとして、この業界の構造的な課題に対し、警備業務を「ヒト中心」から「ヒトとキカイが協業する」次世代モデルへとシフトすることで、将来を見据えた変革をアジラと共に実施してまいりました。
これらの実績から、ザイマックスグループとアジラは2025年3月に資本業務提携を締結し、さらなる協業が進んでおります。
今回は、マックスセキュリティサービスの代表取締役社長である白川様に、次世代警備へのビジョンや「AI Security asilla(以下、asilla)」がもたらした具体的な変革、それらプロジェクトの推進状況などについて、詳しくお話を伺いました。

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アジラ: 本日はお忙しい中、ありがとうございます。
白川様:
おかげさまで、当社は幸いなことに現段階においては現場に必要な人数は充足しています。今回私たちがasillaに着目した背景にあるものは、「未来の警備のあり方」です。警備業務は今も昔もどうしても「ヒト中心」の業務になってしまっております。しかし、警備の未来を考えれば、いずれは「ヒトとキカイの両方が中心になっていく」のは間違いない。そのような考えのもとまずはasillaを試してみようかと思いました。
アジラ:なるほど、今この瞬間の人手不足というより、長期的なビジョンと業務の変革を求めていらっしゃったということでしょうか。
白川様:
その通りです。マックスセキュリティサービスとしてはもちろん、ザイマックスグループ全体で不動産分野のDXを数多く進める中で、警備においてもテクノロジーを活用し、警備のレベル底上げを行うことで、お客様の大切な資産である施設の安全と安心をさらに高めていきたいという思いがありました。しかし、警備に求められる要素のうち「抑止力」「対応力」については、現時点ではヒトに優位性があると思われます。一方「監視力」については、既にキカイが圧倒的な優位性を持っていると認識しています。この「監視力」に着目して、新しい技術をもったパートナーを探していました。

アジラ:
白川様:
やはり、行動認識AIの高い検知精度と、既設のカメラをそのまま活用できる点ですね。特に駅直結の商業施設など、費用面を含めて専用機材の導入が難しい場所でも、asillaなら導入が比較的にしやすいです。
また、実際にトライアルしてすぐに実感したのが「今まで見えていなかった危険の予兆」が見えるようになったことです。この経験を通じて行動認識AIならではの、人間の行動を詳細にまで解析できる点に魅力を感じました。
アジラ:
白川様:
asillaが検知した映像の中には、普段からカメラには映っていても、実際に何かが起きるまでは見直すこともなかったような事象があります。例えば、「入ってはいけない立ち入り禁止エリアに人が入ってきている」であったり、「車が通る専用路になぜか人がいる」といった危険の予兆です。
これらの事象は、放っておけばいずれ「人と車がぶつかる」という事故につながりかねません。しかしこれらの事象を認識できていない限りにおいては、何も起こらなければ対策すら打てないことになります。asillaは、そうした危険を察知し事前に通達することを可能にしてくれました。その他にも、動いているものと人でいうとエスカレーターによるトラブルなどもあげられます。
アジラ:
まさに、事件・事故を未然に防ぐことに貢献しているわけですね。
白川様:
ええ。事後に知るのではなく、これらの事態に即座に手を打てるようになったことが大きいです。これにより、事象に対する反応速度はこれまでの通報ベースよりも大幅に短縮できています。また、「同じ場所で同じことが何回起こっているか」というデータが取れるので、根本的な対策を講じられるようになりました。


アジラ:
白川様:
正直に言って、まだ業務効率化、つまりヒトの仕事をどれだけ減らせるかという点については、そこまで深く検討していません。ヒトをキカイに置き換えるという考え方だけでは、キカイにできないことがクローズアップされてしまい、そもそもの導入を通じたDXが進まないことが多いです。そのような考えのもと私たちは、安易な「省力化」だけには行き過ぎないようにしています。
実は、導入当初はやはり現場での戸惑いや抵抗もありました。新しい技術を普段の業務にどう組み込むかという点で、試行錯誤が続いたのは事実です。そうしたこともあり、我々が重視したのは、全社的な理解と自発的な変革を促すための推進方法でした。
まず、社内で情報が停滞し、一部のチームだけで終わってしまうことを避けるため、あえて専任のプロジェクトチームは作りませんでした。その代わり、現場の警備メンバーも含めた「アジラ定例」を毎週欠かさず実施し、AIが捉えた実際の映像やデータを共有することで、警備のプロフェッショナルである彼らのリアルな声とasillaの技術的な可能性を検討する場としました。
さらに、このAI導入による警備の変革をトップダウンで押し進めることはしていません。現場の警備メンバーたちが、asillaが「今まで見えなかった危険の予兆を可視化し、自分たちの仕事の質と安全性を高めてくれるツールだ」と自ら実感することで、自律的な変革を促すことに注力したのです。
また、現場での意識を変える上で効果的だったのが、asillaを単なるシステムとしてではなく、「チームの一員」として捉えるための施策です。冗談のようですが、今では現場の警備シフト表に、一人の警備メンバーとして「アジラ」の名前が載っています。これは、「ヒトとキカイが協力して」警備を行うという、当社の未来のビジョンを体現するアクションになっています。

アジラ:
短期的な費用対効果よりも重要な価値を見出されているのですね。
白川様:
はい。asillaの導入効果で最も重要なのは、「警備の質の向上」と「安全性の可視化」であると考えています。以前は、事が起こった後に「警備側では気付けなかったのか」という会話になることもありましたが、asilla導入後はそのような機会は減りました。
アジラ:
白川様:
大きな変化がありました。例えばasillaが導入されている福岡の商業施設では、オーナー事業者の方々がasillaに非常に興味を持っています。オーナーは現地で起こっていることを事後的に報告を受けることが多い中で、asillaを活用すると異常事態の検出動画を基にリアルな情報提供ができるようになったため、オーナーと警備に関する感覚を共有できるようになりました。

「実際にこんなことが起こっていますよ」という映像やデータが共有できるので、例えば「事案がたくさん起こっているなら、警備をもっと強化する必要があるよね」等といった、本質的な安全性向上に向けた議論ができるようになりました。費用の議論だけでなく、安全性の本質的な部分に皆の目が向くようになったのは、非常に大きな成果です。
アジラ:
白川様:
特に警備部門よりも、ザイマックスグループ内の商業施設の運営をしている部署からは非常に興味が高いですね。駅の改札の出入り口などでも、今まで感覚に頼っていた「どっちの人通りが多いか」「今どれくらい人がいるか」というのを、カメラに線だけ引けばデータ化できる。これは施設運営の最適化において非常に有用なデータとなり得ます。

アジラ:
白川様:
アジラの強みである行動認識AI技術は警備という分野だけでなく、例えば防災の分野等にも活用できる可能性を大いに秘めていると思っています。災害時の人の動きの検知や、要支援者の状況把握など、技術がより幅広い「安心・安全」に貢献してくれることを期待しています。そして私たちはアジラ社との資本業務提携を機に、今後はぜひ一緒にサービスを作りあげていくような関係性になれたらと考えています。
「ヒトとキカイが得意分野で融合する」という我々の未来の警備像を実現するため、アジラの技術力と、ザイマックスグループの不動産・施設運営の知見を融合させ、警備以外の分野も含め、グループ全体のDXをアジラ様と一緒に進めていくことに、強く期待しています。

アジラ: 貴重なお話ありがとうございました。