2025-12-25
札幌駅総合開発株式会社(以下、札幌駅総合開発)は、札幌ステラプレイス・アピアといった巨大ターミナル施設の運営・管理を担っております。札幌駅総合開発では今後の駅周辺の大規模再開発を見据えたDXの一環として「AI Security asilla」を導入いたしました。
今回はasillaの導入をご担当されている高張様にお話をお伺いいたしました。


高張様:
私たちが最も問題意識を持っているのは、やはり警備の人手不足です。巡回やモニタリングといった業務を人に依存する体制では、今後計画されている再開発などを見据えると限界があります。そのため、安全管理を警備員の経験や勘に頼るのではなく、AIを活用して均質化し、高度化していく必要がありました。また、カメラに関して「犯罪の抑止」「事象確認」という目的が主になっており、カメラの性能を使いこなしていないこと、セキュリティを上げるためカメラ台数を増加しても人間では限界があり監視できないことなど、今現在の活用が出来ていないこともありました。

実は、数年前にアナログカメラからIPカメラへのリプレイスを完了させています。これは単なる機器の入れ替えではなく、将来的にAIやデータを活用した施設全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を念頭に置いた、インフラへの先行投資でした。
このように、人材不足・システムの活用を背景としたDX化を念頭に、カメラのデジタル化からAIの実装までを段階的に進めてきたという経緯があります。
アジラ:
つまり、AI導入はDXの流れの中で必然的な選択だったということですね。そして現場の課題を解決するため、AIを活用した警備体制の構築を目指された、と。
高張様:
はい、その通りです。IPカメラというデジタル基盤を最大限に活かしながら、AIによる自動監視を取り入れることで、事案発生時の迅速な初動対応と業務効率化を両立できないかと考えていました。
AIが予兆や事案発生の“直後”を捉えて通知してくれることで、対応スピードが格段に上がりましたし、AIによる監視が一部の巡回業務を代替したことで、巡回業務などの業務の見直しに成功しました。結果として、限られた人員をより重要な業務に集中させられるようになっています。

高張様:
一つは、人員不足の課題を抱える中で、比較的ローコストで警備機能を導入ができ、かつ人流データの分析機能を有効活用できる点がアジラの魅力でした。もう一つは、設備的なコスト削減と業務工数削減に直結する機能を持っていたことです。巡回業務の見直しに限らず、例えば、以前はテナントの閉館後の侵入や盗難対策として、物理的なセンサーを各テナントに設置を検討していたことがありました。しかし、今ではアジラの立ち入り検知機能がその侵入センサーの代わりを果たしてくれています。これにより、センサー設置にかかるコストが必要なくなったのは大きなメリットです。また、立ち入り検知機能をあえて検知させることで、記録として残しセキュリティの強化や新たな施設運用(特に夜間帯など)にも活用しております。

アジラ:
巡回業務の一部削減に加え、設備費用の削減にも成功されたのですね。
高張様:
はい。AIの立ち入り検知機能を活用し、物理的なセンサー機器で監視していたエリアをAIカメラで代替することで、間接的にセンサー機器のコストを下げることにも成功しています。単に警備を強化するだけでなく、設備のコスト削減に繋がる点に可能性を感じています。
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アジラ:
警備の効率化や高度化に加え、人流データの活用も非常に積極的だと伺っています。
高張様:
私たちは札幌ステラプレイスとアピアで合計150台以上のカメラでasillaの人数カウントを行っています。この人流データは、単にアジラの画面で見るだけでなく、自社のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールに紐づけています。これにより、担当者がいつでもデータにアクセスし、分析し、有効活用できる体制を構築しました。

高張様:
当施設は駅直結という特性上、再開発に伴う工事が多く、それに伴い人流の導線が頻繁に変わります。人流データを常に把握しておけば、次に導線を変更する際に、「予め人流をシミュレーションしながら誘導方法を検討」することが可能になります。
さらに、バーゲンやクリスマスなどの繁忙期の人流計測にも有効活用し、安全対策や販促戦略、段階的な閉店ステップの検討根拠にもしています。経験則ではなく、数値として根拠を出せることで、社内の納得感も強くなります。

アジラ:
AIを「業務の一部」として、施設全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進されているのですね。
高張様:
その通りです。単に警備をするだけでなく、IPカメラというインフラとAIを組み合わせることで、設備入れ替えだけでは活用しきれない領域で、アジラを「業務の一部」として浸透させ、お客様の快適で安心な施設運営を実現できると考えています。
アジラ:
今後の展望についてお聞かせください。
高張様:
今年度は新たにアピアに展開し、施設の安全・安心を高めることができました。現在は計画している再開発施設への導入を検討しており、AI警備システムをより活用できるカメラ配置も検討しております。今後は、asillaと他のシステムとの連携などを通じて、より良い方向に施設を進化させていきたいと思います。アジラは開発スピードが速く、私たちの要望に対して、施設のこと一緒になって考えてくれていると感じています。AIを使いこなすためのカメラの画角や設置場所も意識するようになり、私たち自身の意識も変わってきました。警備員たちも、今では主体的に使い方を考えてくれるようになっています。これからも連携を深め、より高度な安全管理体制を構築していきたいと考えています。
アジラ:
本日は貴重なお話をありがとうございました。今後の札幌駅総合開発様の進化に期待しています。